日本政府への米国政府からの要望書2004

EMBASSY OF THE UNITED STATES
JAPAN

U.S. POLICY&ISSUES
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国望書政府要


2004年10月14日

(仮訳)

 ブッシュ大統領と小泉総理大臣は、規制改革・競争政策に関する分野別および分野横
断的な問題に焦点を当て、経済成長や市場開放を促進するため「日米規制改革および
競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)を2001年に設置した。今年で4年目
を迎えたこのイニシアティブは、日米間の貿易と経済関係をさらに強化する役割を引き
続き果たしている。

 米国は、小泉総理大臣の思い切った経済改革の課題を強く支持しており、その 課題
への取り組みにより促された最近の日本経済成長を歓迎する。また、米国は2004年10
月12日に小泉総理大臣が国会における所信表明の中で、「構造改革なくして日本の再
生と発展はない」ことを再確認し、日本が意義ある経済改革を達成する努力を継続して
いることを歓迎する。さらに米国は、広範にわたり規制と構造改革を強く主張してきた規
制改革・民間開放推進会議の任務を更新し強化した日本の決定を称賛する。

 本要望書に盛り込まれた提言は、主要分野や分野横断的課題に関わる改革措置を重
視しており、現在の日本の経済成長支援および日本市場の開放促進を目的としている。
さらに、米国は、通信、情報技術(IT)、医療、エネルギー、競争政策など、小泉内閣が
改革に重要であると位置付けた分野の問題に焦点を当てる努力をした。

 本年の要望書において米国は、日本郵政公社の民営化計画が進んでいることを受
け、勢いを増している日本における民営化の動きに特段の関心を寄せた。これに関し
て、日本経済に最大限の経済効果をもたらすためには、日本郵政公社の民営化は意欲
的且つ市場原理に基づくべきだという原則が米国の提言の柱となっている。

 米国は、地方レベルで構造改革および規制緩和を通じ成長を促進する画期的な取り
組みとして、日本の構造改革特別区域制度を引き続き支援する。また米国は最近の日
本の独占禁止法強化に向けた努力を歓迎するとともに、そのためには現在検討されて
いる措置の早期施行をこの提言の中で要望し、日本が着実に独占禁止執行制度を改善
することを支援する。さらに米国は、増加する農業分野における規制障壁への対応に向
けた提案措置を初めて含めた。

 提言の概要と詳論に盛り込まれた要望事項は、規制改革イニシアティブの下に設置さ
れた上級会合および作業部会における今後1年間の議論のたたき台となるべく日本政
府に提出された。これらの会合により、大統領と総理大臣へ提出する第4回年次報告が
作成され、両国政府が講じる改革措置も含め、本イニシアティブの下で達成された進展
が明記される。

 改革イニシアティブの最初の3年間では、民間部門の代表が作業部会に参加し、広範
にわたる問題に関して貴重な専門知識を提供し、所見を述べ、提言を行った。米国は今
後とも引き続き積極的に同イニシアティブへの民間部門の参加を促すため日本と協力す
る。

 米国政府は、日本国政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、日
本からの米国に対する改革要望を歓迎する。

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目次
 
提言の概要
 
電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
民営化
法務制度改革
商法
流通

詳論

電気通信
情報技術(IT)
エネルギー
医療機器・医薬品
金融サービス
競争政策
透明性およびその他の政府慣行
民営化
法務制度改革
商法
流通


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提言の概要

電気通信

 この数年の間、日本政府が政策及び規制改革の促進に尽力したことで具体的な成果がもた
らされ、電気通信の重要分野において競争が大幅に促進された。DSL、FTTH、VoIPを含め
た、数々の革新的な技術や安価な先進的サービスが実施された事からこれは明らかである。
2004年4月より実施された電気通信事業法の改正もまた、この分野の競争的な環境を改善し
た。

 競合する事業者への要求が著しく緩和された一方で、米国は、総務省が支配的な事業者の
規制及び競争のセーフガードを一層強化するよう提言する。このような措置なくして、競合する
事業者(国内及び外資系事業者)が、NTT東西及び携帯電話事業者に比べて、魅力的な代替
サービスを提供する事は依然として難しいままだろう。さらに、既存の事業者の利益となるよう
な規制が不公平に決断されないよう、更なる透明性と説明責任の強化が必要である。総務省
は、先進的な無線サービスの中でも特に周波数に関連した分野について、免許が必要か否か
に関らず、より透明性が高く競争を促進する方策を実施することで、競争的な環境を大幅に改
善出来るだろう。

 昨年の進展を受け、電気通信作業部会が引き続き政府及び民間部門から専門家を招い
て、新規の、又、双方にとって重要な課題に対し所見を述べる事を米国は提案する。更に米国
は、2005年に日本が以下の改革を実行するよう提言する。

提言の概要

・ 独立した規制:規制機能を省庁の管轄から独立した機関へ移行し、NTTの経営意思決定へ
の総務省の介入を廃止する。

・ 透明性の促進と説明責任:総務省の規制及び政策判断への民間の参画を増やし、規制判
断の見直し及び司法上の再審理が促進されるよう取り組む。

・ 競争セーフガードの強化:市場力を持つ事業者による弊害を避けるための支配的事業者に
対するセーフガードを強化する。

・ 固定系相互接続:2003〜2004年の相互接続料算定方法の構造的欠陥を解決することで、コ
ストに基づき妥当な相互接続料金の実現を促進し、その結果効率的な競争を促進する。

・ 携帯着信料金:NTTドコモのネットワークへの着信料金が、妥当で競争的な水準であるか否
かを検証し、小売料金設定における差別を排除する。

・ 電波政策:日本の電波管理政策及び業務(免許付与、周波数割当て、試験及び利用料に関
するもの等)がより透明性を持って運営され、技術の革新と事業間の競争そして(免許が必要
か否かに関らず)有効な電波利用を促進し、技術的中立性の原則が確実に順守されるよう保
証する。

・ 端末機器の認証:通信機器分野に於いて貿易の円滑化を促進するため、相互承認協定を
日米間で締結する。


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情報技術

 e-Japan戦略に掲げられた「2005年に世界最先端のIT国家となる」という目標を達成するた
め、日本はここ数年間に数々の規制障壁を除去し重要な進展を図った。この結果、ブロードバ
ンドが広く普及し、世界においても最も安価で最速のブロードバンド利用を可能にするなどめざ
ましい変貌を遂げた。また、民間、政府ともに、ITの利活用を拡大させ手続のオンライン化を
推進したため、日本の電子商取引市場は世界でも最も大きな市場のひとつにまで成長した。e
-Japan重点計画 2004 (重点計画 2004)は、日本の目標を再確認すると同時に、安全で安心
なネットワークの確保、IT利活用の促進、知的財産の保護、コンテンツ開発の奨励、電子政府
の利用の促進といった目標の早期達成を目指し、戦略的に優先すべき措置を明確にしてい
る。同計画はまたIT利活用の促進に向けた民間部門の主導的役割や電子商取引のグローバ
ルな性質を認識している。重点計画 2004の中で、日本政府はまた、IT利活用のより急速な拡
大を阻む法的およびその他の障壁が引き続き存在することを認識した。米国は、これらの障
壁の除去に向けた日本の取組みを支持するが、日本が最大限の柔軟性を民間に与えイノベ
ーションを奨励するには、重点計画 2004の実施に向けて策定する新たな戦略、法律、政省
令、ガイドラインが、特定の技術を過度に推進、或は、強制しないことを確保することが大変重
要である。(技術的中立性)

 本年の提言は、上記の目標を支援するため、次の事項に焦点を当てた。1)電子商取引を
引き続き阻害する法的およびその他の障壁を除去する、2)民間部門の柔軟性、イノベーショ
ン、自主規制、リーダーシップを最大限に発揮させる、3)IT関連政策や規制の策定過程およ
び調達改革への民間の参加を拡大させる、4)経済のあらゆる分野でオンライン取引を促進し
効率性と安全性を向上させる法制度を構築する、5)国際的慣行に整合する協調的政策を策
定する、6)知的財産を振興し保護する。

提言の概要

・ 規制その他の障壁:電子商取引を妨げる既存の法律や規制を排除する。新たな法律や政
策が国際的規範に沿い、民間部門のイノベーションや自主規制を奨励することを確保する。あ
らゆる分野での電子的保存やデータ交換に関する柔軟な法的枠組みを構築する。民間部門
の要請に対応する、効果的かつ協調的IT政策を策定する。

・ 知的財産権の保護:音声録音およびその他の作品の著作権保護期間を延長し、知的財産
権の保護を強化する。オンライン上のデジタル・コンテンツの著作権侵害を阻止するためのよ
り強力な施策を実行する。世界、特に、アジアにおける知的財産権の一層の保護を促すた
め、二国間、地域間、多国間協議の場において米国と連携する。

・ ITと電子商取引の促進:個人情報保護法が、国際的規範に沿い、透明性が高く、一貫性の
ある形で施行されることを確保する。国際的電子商取引を支援するオンライン紛争処理体制
を推進する。公的部門のネットワーク・セキュリティ基準や指針が民間部門の十分なインプット
とともに、統一的かつ技術的中立に策定されることを確保する。自主規制の原則を奨励し、ス
パム対策に向けた技術革新を推奨する。

・ 政府IT調達:開かれた競争、技術的中立性、透明性および革新的オンライン・サービス・ソリ
ューションの市場アクセスを拡大することに焦点を当て、電子政府に係る情報システムの調達
に関して、具体的成果に基づく改革を実施する。


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エネルギー

 日本は、電力小売市場においては2005年までに約63%(2003年の水準の2.4倍)、ガス小売
市場においては2007年までに約50%(2003年の水準の1.25倍)まで自由化範囲を拡大すると
いう明確な道筋を作った。これらの改革は、日本が国際的競争力を持つ水準までエネルギー
産業コストを削減し、消費者や業務用ユーザーにより経済的な電力・天然ガスの利用を促進す
る過程において重要な一歩であり、米国政府は歓迎する。

 自由化の数多くのメリットを実現するために必要な前提条件は、透明で信頼性があり、公平
で新規市場参入に有意義な機会を提供する真に競争的なエネルギー市場である。競争的な
市場を維持するために必要な他の必須要素としては、効果的な監視と当局による規制の実
施、また状況を常に査定し、必要に応じて改善を行なう仕組みの開発が挙げられる。

 米国政府は日本政府の改革のプロセスを支持し、また真に競争的なエネルギー市場の確保
を支援する意図をもって提言を作成した。これらの提言はまた、家庭需要家までを含むより大
きなエネルギー市場の自由化への道筋をつけることを意図している。米国政府はまた、新規
のビジネスチャンスを開く鍵であり、転じて競争の促進と革新を通して効率性を高めることにな
るエネルギー分野における第三者アクセス(天然ガス源へのアクセスを含む)を改善するため
の新規の追加的手段をとるよう日本に求めている。

提言の概要

・ 天然ガス設備への第三者アクセスの拡大:LNGターミナルと導管に対し、非差別的で透明で
信頼性のある第三者アクセスを提供する料金構造を含む規制の枠組みを整備する。これは、
エネルギー市場の真に効果的な競争に不可欠な前提条件である。

・ 新しい電源の機会:コジェネレションや他の小規模電源の余剰電力を市場で販売するため
の有意義な機会を提供する規制環境を整備する事により、競争とエネルギー効率を押し上げ
る。

・ 市場自由化改革の効果の監視:電力とガスの自由化が市場に有意義で競争促進的な影響
を与えることを確保するため、独立した市場監視などの査定および監視の仕組みを整備す
る。また、市場において不都合が起こった場合にそれを確認し改善する。

・ 新規供給者の機会:送電や導管の運営者と関連のある事業者が、関連の無い事業者よりも
有利にならないよう、情報共有に関する厳しい行動規範を導入する。

・ 送電・配電設備への公平なアクセス:提案されている中立機関(NSO)において、規則と公平
性を監督し執行するための手順を整備し、送電網への信頼性のある第三者アクセスを確保す
るための方策をとり、運営上の分離の導入を検討する。

・ ガス分野における公平性と透明性:料金認可の査定や監査の一層厳格な実施のための仕
組みを整備、強化する。また、中立・公平な事後監視を行なう。

・ 効果的な規制のための資源の増強:効果的な規制機能と監視制度の開発、導入を行なうた
めに十分な資源が提供される事を確保する。規制者と監視者の独立性を確保するための方
法を開発する。


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医療機器・医薬品

 日本は、ひっ迫する財政と急速な高齢化に対応するため、医療制度の改革を引き続き推し
進めている。注目すべきは、日本における平均的高齢者の医療費は65歳以下のそれに比べ
て5倍以上で、それが過去10年間に渡り高齢者医療費を年率8パーセント押し上げている。医
療機器・医薬品の薬事規制と償還価格制度を改善する事が、日本の医療制度改革の鍵とな
る要素である。例えば、日本は新たな製品の審査を迅速に行なうために薬事法の改正を行な
っている。そして、その目的を推進するため、2004年4月に“医薬品医療機器総合機構”(以
下、総合機構)という新たな独立行政法人を設けた。総合機構の予算は、医薬品・医療機器製
造業者からの増加した手数料で補完されており、同機構は薬事承認を迅速化するという重要
な目標を設けた。それに加え、厚生労働省は日本の医療機器・医薬品産業の国際競争力の
強化を目的とする計画の概要“産業ビジョン”を公表した。厚生労働省は、その中で、革新の
価値と償還価格が革新的な研究開発投資に与える影響について認識している。

 しかしながら、米国政府は日本政府に対し、その医療政策を達成するためには、医療機器・
医薬品に関する薬事規制と償還価格に問題を引き続き解決する努力を活発に行うことを求め
る。例えば、薬事承認の継続した遅れは、日本でビジネスを行う際のコスト増につながり、患者
の革新的な製品への早期アクセスを否定する。それらの革新的製品は、医療の質を高め長
期的に医療費削減に貢献するものである。また、日本の償還価格制度は革新性を適切に評
価していない。その結果、業界の日本における研究開発を抑制し、国際競争力を改善すると
いう日本の意欲をも妨げている。米国政府は、薬事および保険償還の政策が、日本での革新
的製品の導入を促進するよう措置を講じるよう求める。

提言の概要

・ 価格算定改革:医薬品研究や医療技術の進歩に報酬を与え、促進するためにより適切に加
算を適応する。革新的製品の価値を十分に認める医療機器・医薬品の価格算定ルールを確
立し、革新的で安全な製品をより早く必要とする患者ニーズを考慮する。

・ 薬事制度改革:総合機構の立てた重要な目標を順守し、審査と承認を迅速に行なう。総合
機構が製品審査の迅速化に成功したかどうかを評価する効果的方法を、業界との対話を通じ
確立する。海外監査や工場査察が新製品の承認を遅らせないことを確保する。第三者認証機
関による医療機器製造所の監査結果を受け入れる。審査官の専門性を強化する。審査及び
安全対策に関連する不服申し立ての過程を確認し明確にする。

・ 血液製品:需給計画が海外製品を差別しない事を保証する。血液関連製品に関する事項に
取り組むにあたり業界と作業を行う。

・ 栄養補助食品の自由化:栄養補助食品の販売規制を緩和する。


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金融サービス

 米国政府はここ数年、日本の金融システムを国内外からの競争に開放する上で進展が見ら
れてきたことを歓迎する。わずか6年前に設立された金融庁は、日本の金融に関する規制の
専門性と透明性を着実に高めた。監督、会計基準、規則の透明性の改善や、競争への障壁と
なっていた数々の規制排除に伴い、日本の金融部門で際立った変化が見られるようになっ
た。外国企業のプレゼンスの高まりをうけ、日本金融市場は基準と参加企業の多様化という
面でさらにグローバル化された。

 国際的な基準とベストプラクティスに沿った形で、金融機関に対するわかりやすく整合性のあ
る規制と監督の確立に向けて、日本がさらに前進することは肝要である。また日本は、消費者
保護と同様に安全性と健全性を確保する目的に合致するよう、競争への障壁となる不必要な
規制を排除する努力を継続することが大切である。金融部門がより効率的になり競争力を持
つことは、日本の長期にわたる潜在成長力の強化に向け極めて重要な役割を果たすことにな
る。

提言の概要

・ 金融規制の透明性:より広範で明解なガイドラインの公表やインターネット上に質疑応答の
ページを創設するなどの方法を通じて、金融法の一連の書面での解釈拡充により、ノーアクシ
ョンレター制度の設置に始まった進展を継続する。規制制定やガイドライン作成にあたり、金
融機関および協会の意見や懸念を慎重に検討し、公開ヒアリングや意見提出の機会を引き続
き拡大する。

・ 個人情報保護:金融庁の個人情報保護に関するガイドラインが、日本の消費者への斬新な
商品やサービスの提供を妨げることなく、プライバシー保護システムの確立に合致することを
確保する。ガイドライン作成にあたり、金融機関および協会を含む関係者の意見を慎重に検
討する。

・ 信託法:兼営法に従って、国内銀行と対等の立場で、外国銀行の支店が信託と銀行業務を
同時に従事することを認める。

・ 投資信託:投資顧問や投資信託の活動を規定する規制の枠組みを一本化する。投資信託
契約の統合を許可し、早期償還の障害を削減する。

・ 電子通知:貸金業法が定めるディスクロージャーの要件を電子的通知により具備することを
貸金業者に認めることにより、また、貸金業者や借金取りの悪用から消費者を守るために規
則を強力に順守させることで、有意なディスクロージャーを確保しつつ、消費者のプライバシー
と安全を保護する。

・ 確定拠出年金:拠出限度額のさらなる引き上げや事業主の拠出に相応する被雇用者拠出
を認めることにより確定拠出年金プランの発展と採用を奨励する。


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競争政策

 積極的な競争の促進は、新規参入および発明を奨励し、効率的で競争力のある会社を育て
る経済環境を創造することにより、日本経済の回復を強化する。競争政策の成功は、日本の
市場において反競争的慣習を暴き、それに挑戦するための正しい装備が施された強力な独占
禁止法(独禁法)および公正取引委員会(公取委)に掛かっている。それはまた、公的財源を
絞り取り、日本経済改革の基礎を危うくする談合慣習を排除するための、およびそれらの民営
化ならびに規制改革の試みにおいて市場に基づいた競争原理を取り入れるための他の日本
の諸官庁からの支援にも掛かっている。最近日本では、独禁法を強化する新たな処置が激し
い議論の焦点になっている。一組の処置が、今秋の国会に提出されるものと期待されている。
米合衆国は、これらの処置の早い制定を期待していており、日本が同国の独占禁止施行制度
をしっかりと改善し続けることを望む。

 よって米国は、日本に以下の処置を講じることを要望する。

提言の概要

・ 独占禁止の施行:(課徴金を)実質的に引き上げ、くり返す違反者に対して通常よりも高い行
政的罰金(課徴金)を科すために独禁法を改正する。一番目の内部告発者を課徴金および刑
事告発から免除する法人措置減免制度を導入し、公取委に犯則調査権限を与え、捜査妨害
に対する刑罰を強化する。日本における競争過程を明らかに損なう行為に対し、公取委の捜
査に優先権を与える。独禁法違反に対する刑事上の量刑の改善を目指した検討に着手する。
独禁法の適用除外の更なる範囲の制限や削除を検討する。公取委の資源、特に経済学の高
等学位を持った公取委の職員の数を増やす。独禁法の指針の発布または拡大および経済界
に効果的な法人順守制度を奨励することにより、独禁法の順守を促進する。

・ 公取委の施行手続きの公平性:審判官を勤める裁判官および弁護士の数を増やす。何故
公開警告が行われるべきでないかについて議論する機会を会社に与える。

・ 談合の防止:談合の扇動を試みる政府職員に対するより厳しい制裁を含む官製談合に対す
る処置を強化する。談合を一番目に報告した会社への指名停止を免除し、内部告発者の身
元を保護する行政措置減免制度を導入する価値を検討する。総務省による追加的処置と通し
て地方政府段階で談合に対応する。談合に従事したと確定した会社に対する行政制裁の透明
性を改善する。談合を更に困難にするよう設計された新たな入札手続きの採用を検討する。

・ 競争の促進:最も競争的な方法で民営化を進める方法について公取委の意見を強く求め、
それらが反競争的行為に従事しないことを保証するために、公取委が民営化の過程にある機
関を監視することを保証する。分野の改革を検討している検討委員会における公取委の積極
的参加を求め、公取委に規制改革・民間開放推進会議の活動を援助させる。


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透明性およびその他の政府慣行

 米国はここ数年、「透明性およびその他の政府慣行」の下、広範にわたる問題を取り上げ、
そのねらいとして、公平性、予見可能性、説明責任を確保したより透明性の高い規制制度を
日本が確立するよう提案してきた。例えば、過去の要望書の中で、パブリックコメント手続き改
善のための提案、ならびに規制緩和の特区設置を通じた地方経済活性化に向けた構造改革
特区推進本部の革新的な努力を支持する提言を大きく取り上げた。米国がこの分野における
進展を重視していることを示すべく、パブリックコメント手続きと特区に関する改革案を今年の
要望書に再び表記する。

 また、この章にいくつか新しく追加した点があり、その一つとして、アジア太平洋地域諸国の
法体制においてAPEC透明性基準完全実施に向けて、どのように日米で協力できるかを規制
改革イニシアティブのもと考える提案をしている。また、日本が保険商品の銀行窓口チャンネ
ルにおける販売を3年以内に一律に自由化し、顧客に対する保険のダイレクト マーケティング
を妨げる規制の緩和を米国は提言する。さらに、米国は日本の農産品輸入の妨げとなってい
る技術的障害を除去する手段をいくつか提案する。

提言の概要

・ パブリックコメント手続き: 意見募集期間は60日間を標準とするか最低30日間の設定を義
務付ける。法の拘束力を与えるためパブリックコメント手続きを行政手続法に取り入れる。

・ APEC透明性基準 : 米国と共にアジア太平洋地域においてAPEC透明性基準の完全実施
に向け努力する。

・ 構造改革特別区域(特区): 今後とも透明性が特区制度の中核とされること。市場参入の
促進に引き続き焦点を当て、成功した特例措置の迅速な全国適用を優先する。

・ 市民参加による法案策定 政府が法案を国会に提出する前の法案作成段階において、一
般市民が法案に対してコメントできるよう更なる措置を講ずる。

・ 保険の窓販:保険商品の銀行窓口チャネルにおける販売は、3年以内に一律に自由化す
る。顧客に対する保険のダイレクトマーケティングを妨げる規制の緩和を行なう。

・ 共済:保険を提供するすべての共済と民間会社の間の競争条件の同一化を確保する。競争
条件の同一化の改革を行なうため、根拠法を有する共済の見直しを始める。

・ 農業分野における政府慣行:農産品の輸入を妨げる技術障害を除去する。


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民営化

 米国は、小泉首相の公社・公団の再編と民営化の取組みに関心を持ち続けてきた。この改
革イニシアティブは、競争を刺激し、資源のより有効的な利用につながるなど、日本経済に大
きな影響を及ぼす可能性がある。米国政府は、日本郵政公社の民営化という小泉首相の意
欲的な取組みに特に関心を持っている。日本の郵便生命保険事業と郵便貯金事業が世界最
大の生命保険事業者と預金制度にまで成長しているため、これらの事業の民営化は、それぞ
れの分野で営業をしている会社に巨大な影響を与えると考えられる。2007年に開始予定の日
本郵政公社の民営化は、民間の宅配便業者にも大きな影響を与える可能性がある。

 本年の米国の提言の柱は、日本郵政公社の民営化が日本経済に最大限の経済的利益をも
たらすためには、意欲的かつ市場原理に基づいて行われるべきであるという原則である。真に
市場原理に基づいたアプローチというものは、日本の保険、銀行、宅配便市場において歪めら
れていない競争を確保することを含まなければならない。日本郵政公社に付与されている民間
競合社と比べた優遇面の全面的な撤廃は必要不可欠である。これらの優遇面は、米国系企
業および日本企業の双方にとって同様に、長年の懸念となっている。経済財政諮問会議は、9
月10日に発表した「郵政民営化の基本方針」において、日本郵政公社と民間企業との間の「競
争条件」の均等化の重要性を確認することにより、重要な一歩を踏み出した。

 米国は、日本郵政公社と成田国際空港、日本道路公団等の他の組織の民営化が成功する
ことを期待している。これは、複雑で挑戦的な取組みではあるが、効果的に実行できれば日本
経済と日本の企業、消費者に大きな利益をもたらすことになる。本年の民営化にかかわる提
言の重要項目は下記のとおりである。

提言の概要

・ 競争条件の均等化:保険、銀行、宅配便分野において、日本郵政公社に付与されている民
間競合社と比べた優遇面を全面的に撤廃する。民営化の結果、歪められていない競争を市場
にもたらすと保証する。

・ 保険と銀行の公正な競争:日本郵政公社の保険および貯金事業においては、真に同一の競
争条件が整うまで、新規または変更された商品およびサービスの導入を停止する。これらの
事業に、民間企業と同一の納税条件、法律、規制、責任準備金条件、基準、および規制監督
を適用するよう確保する。

・ 宅配便サービスの公正な競争:郵便業務の規制当局は日本郵政公社から独立しかつ完全
に切り離された機関であることを確実にし、民間部門と競合するビジネス分野における競争を
歪曲するような政府の特別な恩恵を日本郵政公社の郵便事業が受けることを禁止する。

・ 相互補助の防止:日本郵政公社の保険および銀行事業と公社の非金融事業の間で相互補
助が行われないよう十分な方策を取る。競争的なサービス(すなわち、宅配便サービス)が、日
本郵政公社が全国共通の郵便事業で得た利益から相互補助を受けるのを防止するため、管
理を導入する。

・ 完全な透明性:民間の利害関係者が、関係する日本政府の職員と民営化について意見交
換を行い、政府が召集する関連の委員会の審議に貢献する有意義な機会が提供されるよう
確保する。パブリックコメント手続きの十分な利用を保証する。


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法務制度改革

 日本において必要とされる効率的な国際的法務サービス並びに法的係争を迅速かつ廉価で
解決できるメカニズムに答えうる法務環境を創造することは、日本経済の健全性、特に日本市
場において安全で効果的な商取引活動を確保する上で重要である。米国は、2003年に日本が
いわゆる「外弁法」を改正し、日本の消費者の利益のために、外国弁護士が日本弁護士と自
由に提携を結ぶことを可能にしたことを賞賛する。米国は、これらの改正事項が、自由化に向
けた改正法の精神とその文言に則って実施されることを期待する。米国は、また、日本国民が
紛争を迅速かつ廉価で解決することを助ける裁判外紛争処理手続(ADR)を整備するとする日
本のコミットメントを歓迎する。

 これらの理由で、米国は、日本が以下の措置を講じることを要望する:

提言の概要

・ 提携の自由:日本弁護士と外国弁護士間の提携の自由を認めた2003年の改正「外弁法」
を、2005年4月1日までに完全に実施する;日本弁護士連合会が、その会則・規則を改正法の
自由化精神に則って実施することを確保する、特に(i)外国弁護士パートナーは、彼らのいか
なる外国弁護士アソシエイトの権限内である外国法事件を受諾できることを妨げない、(ii)日
本弁護士と外国弁護士に対して、倫理規則を平等に適用する、(iii)弁護士と依頼人間のコミュ
ニケーションに関する義務を、近代的かつ国際的慣行に沿ったものに限定し、過度に負担とな
るものとしない。

・ 専門職法人とその支所の設立:外国弁護士が、日本弁護士と同等に、また、同等の利益を
享受できる形で、専門職法人を設立することを認める;日本で活動する外国法律事務所及び
外国弁護士が、日本の専門職法人の設立を要求されることなく、支所を設立することを認め
る;

・ 裁判外紛争処理(ADR)手続:国際基準・慣行に合致するADRの基本的枠組みを採用する、
ADRを使用しようとする関係者が、その規則、課程、適用される基準について、彼ら自身で合
意することを認める、そして国際的要素を含む全てのADR課程において、外国弁護士が関係
人を代表することを認める;非弁護士が、弁護士法違反の危惧や、日本弁護士の監督の必要
無しに、ADRプロセスにおいて中立者(すなわち仲裁者、調停者、仲介者)として活動すること
を認める;いかなるADR免許制度も、完全に自主的なものであり、非免許人ありいは組織によ
って提供されるADRサービスが適法であることを妨げる効力を有するものではなく、外国人、
日本人そして組織に平等に開かれたものであり、さらに、不合理に負担とならない免許及び報
告手続・基準を設定することを確保する。

・ 外国弁護士の資格基準:日本において行なった原資格国法に関する全ての実務期間を、外
国法事務弁護士資格に必要な三年の職務経験要件に算入することを認める。


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商法

 効果的な企業再構築やより良い企業業績は、21世紀の世界経済の中で求められているよう
に、日本がその地位を復権し、経済を再活性化することを助ける。例えば、日本の商法に近代
的な合併手法を導入することは、企業再構築や投資を促進することを通じて、経済を強化する
ことに大いに役立つ。さらに、より良い企業統治メカニズムの導入は、生産性の向上や経済的
に健全な経営判断を通じて、経営者が株主利益の最大化のために働くことを担保し、企業業
績の改善をもたらす。企業統治改善のための鍵は、株主、特に年金基金や信託基金などの
大規模な機関投資家による積極的な参加である。米国は、公的年金や投資信託による委任
投票の促進など日本がこれまで講じてきた施策を歓迎するが、さらに多くの行動が必要であ
る。また、増大する外国人投資家による日本企業の株式保有を考えれば、外国人株主が委任
投票権を円滑に行使できるようにすることも重要である。

 これらの理由で、米国は日本に対して以下の措置を講じることを要請する:

提言の概要

・ 近代的合併手法:三角合併、キャッシュマージャー、株式交換、また、ショート フォーム(スク
イーズアウト)・マージャーを認めるために必要な合併対価の柔軟化を含め、日本の商法に近
代的合併手法を導入するための法案を次期通常国会に提出する;近代的合併手法に対して
適切な税制上の措置を提供し、同時に、新しい合併手段の有効性を不当に制限しかねない特
異な条件を排除することを含め、日本におけるM&Aを促進するためのその他の必要な措置
を講じる。

・ 積極的な委任投票を通じた株主価値の増大:厚生労働省の支持のもとで公的年金の運用
責任者の委任投票政策を公開すること、また、民間年金基金運用責任者に対して、受益者を
代表して委任投票を行使する受託者義務を制定するかについての検討を行なうことを通じて、
公的及び民間年金基金の運用責任者による健全な委任投票政策を促進する;信託基金運用
責任者が、実際の委任投票に関する記録を公開することを奨励する;代理保管人及び国際的
保管人による委任投票行使に関する法律並びに規則に必要な変更を加えることを検討するこ
とにより、海外の株主による委任投票権行使を円滑化する。


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流通

 米国政府は日本の新規制改革・民間開放推進3か年計画に流通関係の項目が入ったことを
歓迎し、流通分野で規制改革を推進させる日本国政府の今後の努力に期待を寄せる。商品
を迅速かつ安価に通関させ、消費者の手に渡るように動かすための有効な手続きは、経済効
率向上への肝要な手段である。米国政府は通関手続きの改善や全国におよぶ通関手数料の
削減により、日本の国際港の競争力を高めるために日本国政府が取った方策を歓迎する。し
かし、経済および消費者益のために、商品の流れを促進するようさらになすべきことがある。
それゆえに、米国は日本に対し、国際空港における着陸料を引き下げ、航空券価格および運
賃届出制に関する政府規則を削減し、また通関の過程および手続きを改善することを求め
る。同様にクレジットカード、デビットカード、ATMカードの利用拡大は消費者に対する恩恵とよ
り円滑な経済運営をもたらし、このようなカードによってもたらされた効率はさらにクレジット・カ
ード、デビット・カード、ATMカードの世界的な利用拡大につながった。それにもかかわらず、
日本の昔からの店舗やATMでのカードの受け入れが低い率であることは、日本に居住する
人々にとって不都合であり、また海外から日本を訪問する人たちの共通の不満である。米国
政府は、公立病院のいくつかでカードの受け入れが伸びているという最近の動きを歓迎すると
ともに、ビジネスによる、また政府サービスの支払いに利用するクレジットカードおよびデビット
カードのセキュリティーを向上させ、利用をさらに促進することを要望する。

提言の概要

・ 空港着陸料の改革:日本における国際空港の着陸料およびその他の航空会社の空港使用
料を直ちに引き下げ、これら料金設定に使用されている計算方法を公表し、パブリック・コメン
トを募集する。

・ 航空会社による航空券の販売:消費者に恩恵をもたらし、日本への旅行客を増加させるた
め、航空会社の航空券に対するIATA運賃の70%割引下限の実施を取りやめる。

・ 30日前の運賃届出制:航空会社による運賃価格設定に関し、市場状況への対応をより柔軟
に行えるよう30日前の運賃届出制を廃止し、またダブルアプルーバル(両当事国承認)制度も
廃止する。

・ 課税計算に関するFOB価格(本船積み込み渡し価格):税関職員の作業を軽減し、日本へ
の輸入コストを低減するために、小額商品の課税計算に関してCIF(運賃保険料込み価格)か
らFOB価格方式へ移行する。

・ 免税輸入限度額:関税定率法による免税輸入限度額を1万円から3万円へ引き上げる。

・ 税関手数料の削減:国際物流特区における一定の通関手数料をさらに低減し、ゼロにす
る。そしてその適応をやがては全国へ拡大する。

・ 通関情報処理システム(NACCS):NACCS料金体系の将来のいかなる更改に関しても、
通関情報処理センターが利用者のコメントを考慮に入れることを確実にする。

・ クレジット/デビットカード:観光を促進し、経済の効率を向上させることにより経済に恩恵をも
たらすべく、商品とサービスへの支払手段としてのクレジット/デビットカードの受け入れとセキ
ュリテイを改善させる。


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詳論

電気通信

I. 規制の独立性の強化、透明性の促進

 総務省は長年、規制決定プロセスから党派的な影響力を排除することに苦慮してきた。政府
とのつながりを長年維持してきた大企業を優遇し、新規参入企業を犠牲にした過去の決定案
件は、規制の独立性及び説明責任を改善する方策が必要であることを裏付けている。

I-A. 米国は、日本が規制の独立性を強化するために以下の措置を取ることを提言する。

I-A-1. 規制機能を、政治的に直接コントロールされやすい省庁の権限から切り離し、完全な
る独立機関へ移行する計画を策定する。

I-A.2. 日本政府が特定数のNTT株を保有すること、外国資本による株式保有、あるいは経営
参加への制限等の要件を廃止する。

I-A-3. 事業計画や人事決定を含むNTTの運営に関する政府の干渉を排除する。

I-A-4. 反競争的行動を処罰するための有意義な制裁権限(罰金を科し、損害の支払いを命
じ、免許を差し止めるなど)を確立し、実行する。

I-A-5. これらの目標を達成するために、下記を含む措置を暫定的に取る。

I-A-5-a. 日本の電気通信事業紛争処理委員会の運営、実効性および権限が強化されるよ
う、紛争処理を行う際の透明性の最大化を含め、方策を講じる。

I-A-5-b. 総務省の産業振興プログラムの恩恵を受けている企業が、規制の特権的な待遇を
受ける事がないよう、産業振興と規制措置を明確に分け隔てる垣根を設定する。

I-B. 更に規制の説明責任を強化するために、米国は日本に、決定された規制の再検討と法
的側面からの見直しに向けて具体的に取り組み、規制と司法の両機関が適切な時間内に問
題に効果的に取り組めるよう資源の確保を保証することを提言する。具体的には、

I-B-1. 決定及び決断事項を裏付ける全ての公開される記録が存在する事及び特別な利益団
体が法規制の構築プロセスに接近を許される様なことのない事を保証するために、透明性あ
る手続を導入かつ公表する。

I-B-2. 関心を有する全ての利害関係者が参加の機会を与えられるように、総務省が主催す
る作業部会のメンバー選出プロセスを開放する。

II. ネットワークアクセスおよび競争促進

 電気通信事業法が2004年4月に改定されたことにより、競争的通信事業者の規制緩和にお
いて日本は大きな成果をあげた。しかしながら、施設ベース・サービスベースの競争促進のた
めには、ボトルネック設備へ競合事業者がアクセス出来る事が今もって必要不可欠であって、
それが日本政府の主要な目標である。総務省は、支配的事業者への規制を強化し、固定系
通信サービスの相互接続料金を低く抑え、更にその他の競争的環境を改善する事によって電
気通信分野における競争を保証する措置を講じる事が可能である。

II-A. 支配的事業者規制および競争セーフガード 米国は改正電気通信事業法下の規制や
省令で、日本市場において支配的な地位を保持する事業者に特定の義務を課し、適当な機関
にこれらの義務を守らせる権限を与えることを保証するよう提言する。特に米国は日本に以下
の措置を取ることを提言する。

II-A-1. 2005年3月までに、その市場支配力と妥当な改善措置について再考すべき全ての市
場と下位市場を特定し、例えばEUのような他市場の政策立案者及び規制当局者の経験を参
考に、かかる調査が迅速に実施されるよう計画を策定する。

II-A-2. 電柱、管路、とう道、線路施設権への非差別的でコストに基づいたアクセスを法律あ
るいは規則、あるいはその双方により保証し、それらのアクセスに透明な価格設定方法を提
供する。

II-A-3. データサービス同様、音声サービスについても、支配的事業者による価格設定の濫
用を評価する方法(例:インピュテーションテスト)を確立する。

II-A-4. 毎年、NTT東西が新規ビジネスへの展開の規定条件を満たしているか否かを見直す
際、ネットワークアクセスや優遇措置が施された競合する事業者に関する定量的データを公開
する。

II-A-5. 競合する事業者が利用するNTT東西の専用回線が妥当かつ競争的な料金によって
提供されているか否かを、公表される情報に基づいて評価する、透明な方法を確立する。

II-A-6. 支配的事業者が、規制を受けていないサービスを補てんするために、規制を受けてい
るサービスからの収入を反競争的に利用することがないよう、規則(例えば、関係会社との分
離取引ルール)を設ける。

II-A-7. 報告義務を含め、競争関係実施測定基準および基準不履行に対する金銭的罰則を
整備する。このような基準は、必要なすべてのネットワークサービスおよび施設の提供、サー
ビスの質および修理や保守において、支配的事業者が自社あるいはその関係会社への扱い
と競合事業者への扱いを同等にすることを確保するためのものである。

II-A-8. 支配的事業者が従来から独占的に提供するサービスの他に新たなサービス展開を
試みる場合、適当なセーフガードの実施によりその市場での独占的な立場を利用して反競争
的な効果が望めないよう保証する。

II-B. 固定系相互接続 情報通信審議会は2004年7月に、2005年度から3年間適用されるよう
改定された相互接続料金算定モデル(長期増分費用方式或いはLRIC )の提案書へのパブリ
ックコメントを募集した。米国は提案書を相互接続料金が受け入れ可能なレベルまで引き下げ
られる為の適当な措置として歓迎し、様々な利害関係者の意見を反映した上で2004年10月に
発表される改定された提案書に期待している。米国は総務省が改正されたモデルの実施省令
を起草する際に次の提案を真摯に検討するよう提言する。

II-B-1. NTSコストの除去 米国は日本に、移行期間を設けないで2005年度の従量接続料金
からNTSコストを取り除く事を提言する。

II-B-2. NTT基本料の見直し NTT東西の月額基本料を最大490円まで値下げする決定を受
けて、総務省はNTT東西に以下の項目を透明で検証可能な方法で文書化し公開するよう求
めることを提言する。

II-B-2-a. 正確にどのコストが月額回線使用料から回収されているのか。

II-B-2-b. 先頃発表された小売サービスの月額基本料の値下げと卸売料金(相互接続料金)
の値上げの動きが侵略的、排他的と目されない理由。

II-B-2-c. 卸売サービス(ドライカッパー)の月額使用料が小売料金の値下げ分に比例して引
き下げるべきではない理由。

II-B-2-d. 月額基本料のコストがどのように特定され、異なるサービス間(ISDN、DSL、専用
回線等)でどのように配分されているのか。

II-B-2-e. 基本料のコスト回収の前提、特に既に施設設置負担金で回収されているコスト(加
入権利もしくは施設設置負担金)、減価償却率と償却方法、許容範囲の利益マージンはなに
か。

II-B-3. NTT東西間の交付金の廃止 米国は日本に以下の措置を提言する。

II-B-3-a. NTT東西が日本のWTO義務に従って、各地域によって異なるコストを考慮しつつ、
コストに基づいた相互接続料金を設定し、反競争的な値下げの危険性(及び防止する手段)を
検討しつつ、必要に応じて、各社が異なる料金を設定する事を許可する。

II-B-3-b. 接続料収入をNTT東西間の交付金の収入源とする現在の用途を廃止し、必要と目
された交付金は競争上の中立性を保持するユニバーサルサービス基金から拠出する。

II-B-4. 新しい市況への適用 競争と技術革新の促進によって日本の固定系通信分野の構
造が著しく変化する中で、米国は日本に以下の措置を提言する。

II-B-4-a. 「ビル・アンド・キープ」コスト回収方法への移行を、出来る限り広範囲のネットワー
クアクセス機能について検討する。

II-B-4-b. アナログシステムとIPネットワークを接続する場合のみならず、IP電話サービスを提
供する事業者どうしの接続においても、支配的な事業者の市場力を考慮しながら音声通話の
接続料交渉に関する紛争処理をするよう、電気通信事業紛争処理委員会が支援を依頼出来
ること事を保証する。

II-C. 携帯着信料金 米国は日本に以下の措置を提言する。

II-C-1. 支配的な無線ネットワークへの競争的な接続料金を保証する日本の電気通信事業法
と2002年の取り決めに従い、携帯電話の着信料金がコストに基づく水準に設定されているか
否かを評価する為に客観的で透明な方法を規定し、また交渉が妥結されない場合はこれを仲
裁手段の根拠とする。

II-C-2. 携帯電話事業者との相互接続を求める固定通信の事業者のために、小売料金の設
定時における携帯電話事業者による差別的な扱いを許している現在の慣行を排除することで
競争上の中立性を確保する。

II-C-3. 携帯電話市場におけるNTTドコモの支配的な立場を分析すると同時に、全携帯電話
事業者が下位市場において携帯着信料金に対してどの程度の市場力を発揮しているのかを
分析する。

II-D. 携帯電話市場における競争の促進 非常に普及率が高く、小売料金の高い日本の携帯
電話市場において、2010MHz及び800MHzの周波数帯を含めた市場へ新規事業者が参入でき
る機会を広げることを検討するように米国は日本に提言する。既存事業者が周波数の有効利
用を怠っていたり、利用者を異なる周波数帯の新サービスへ移行させる過程に在ったりする
場合、総務省は移行する周波数帯を他の利用者へ技術の中立性を保ちつつ割当てることを
考慮すべきである。

II-E. 道路工事規制の緩和 パブリックコメントを経て、通信インフラの新規設置に要するコス
トと時間を削減するために緩和或いは廃止可能な規則を特定する目的で、全ての道路工事規
制の見直しを実施する。

II-F. アンバンドル化 アンバンドル要件の廃止に先駆けて、市場力とボトルネック管理に関す
る事例を評価するために、パブリックコメントの結果を盛り込みながら競争原理の政策に則り
市場を再調査する。

II-G. サービスの質における非差別化 アンバンドル化が求められる施設においては、米国は
日本がNTT東西に対して、以下の措置を取ることを提言する。

II-G-1. NTT東西がサービスの混乱や質の悪化に対応しなければならない期間を特定して、
小売顧客へ提供されているサービスと同様のサービス水準合意(SLA)を、その接続約款に
盛り込むこと。

II-G-2. 施設への適切なアクセスを条件として、卸売顧客が自ら施設を保守する選択権を容
認する。

III. 無線の先進技術及びサービスを促進する措置

 総務省は2004年版情報通信白書「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」におい
て、日本でブロードバンド技術および無線技術が融合し、「いつでも、どこでも、誰でも情報を自
由に交換できるユビキタスネットワーク」が実現しつつある現状を説明した。その上で、2004年
8月に総務省は、2005年度のICT政策が「u-Japan構想」に 焦点をあわせると発表した。これら
の目標と一貫して、日本が技術革新、競争、透明性そして有効な周波数利用を促進するため
に、更に柔軟に周波数帯の規制に取り組むよう米国は提言する。具体的な提案は以下の通
り。

III-A. 免許登録が必要な周波数帯の柔軟な利用 効率的で革新的な電波利用を更に促進す
る為、米国は日本へ以下を提言する。

III-A-1. 免許を付与された事業者に賃貸、転貸及び他サービス事業者との周波数帯の交換
を促進する方策を講じる。

III-A-2. 免許付与の政策は技術的に中立な立場をとるよう明確に規定し、事業者が選択する
技術が可能な限り周波数の割当て及びサービス免許付与手続きに左右されないよう設定す
る。

III-B. 新規技術への周波数割当て 米国は日本へ以下の措置を提言する。

III-B-1. 革新的な無線LAN技術、固定系及び移動系MANサービス、その他標準化されてい
ない技術に供する周波数帯の特定、割当てを開始する。

III-B-2. 可能であれば、このような技術に供される周波数帯は、免許不要とする。

III-C. 新規技術の試験手順 予備免許付与手続きを手順の合理化と透明性の向上に向けて
見直し、既存事業者が競合技術の試験を妨害しないよう手続上のセーフガードを規定する。

III-D. 電波利用料制度 総務省が電波有効利用政策研究会の報告書を見直し、最終決定を
行う際、米国は総務省に以下を提言する。

III-D-1. 免許不要局やサービスに利用料を課さないようにする。

III-D-2. 免許不要局の新しい形態として帯域占用型を導入する前に、帯域非占用型として取
り扱えるか否かを十分かつ透明性を持って検討する。

III-E. 小電力無線システムによる周波数利用 既存利用者の利益に配慮しながらも小電力無
線ICタグが免許不要局として電波を利用できるよう、2004年度及びそれ以降の規制改革の審
議過程が時宜にかなった、客観的且つ透明性あるものであるよう保証する事を、米国は日本
政府に提言する。

III-F. 民間部門からの情報提供 米国は、電気通信作業部会に講演者として政府及び民間
部門から専門家を招き見解を共有することで、協議が一層促進することを歓迎する。

IV. 通信機器の貿易促進

 通信及びIT機器の分野でより効率的な貿易が促進されるよう米国と日本は試験及び認証の
要件を相互に承認する方策を講じてきた。この精神の下、米国は日米両政府が2004年度末ま
でに電気通信作業部会を通して電気通信機器の具体的要件及び電磁両立性(EMC)の一般
的要件に関する相互承認協定(MRA)を締結するよう提案する。



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情報技術(IT)

I. 規制障壁および非規制障壁の除去

 「e-Japan重点計画―2004」(重点計画 2004)は電子商取引の促進が日本の優先課題であ
ることを明らかにしている。日本は、民間および公的部門での手続のオンライン化に向けて大
幅な前進を図ったが、法的あるいはその他の規制障壁のため、ITの潜在力をいまだ十二分に
活用できていない。重点計画 2004は、構造改革の推進が、日本経済の健全性を取り戻すた
めの一つの鍵であり、e-Japan戦略 IIの重要な柱であることを確認すると同時に、政府が自由
かつ公正な競争の促進を通して民間部門を適切に支援すべきことを明確にしている。こうした
政策と目標にそって、日本政府が以下の措置を講ずることを米国は要請する。

I-A. 対面および書面取引要件といった電子商取引を阻害する既存の法律および規制や、そ
の他電子商取引やオンライン・サービスの発展を妨げている障壁を除去する。現在、電子通
知および電子取引が禁止されている分野において、電子通知や電子取引が可能となるよう必
要に応じ法律や規制を改正する。

I-A-1. 貸金業法の下、電子通知を許可する。

I-A-2. 大量の自動車の登録所有者が、電子政府のオンライン制度を通して、自動車登録の
変更および所有権移転登録を、自動車検査証記載事項変更の申請とは別途行えるようにす
ると同時に、これらの変更がより妥当な期間で行えるよう道路運送車両法を改正する。

I-B. 民間部門に最大限の柔軟性を与えイノベーションを奨励するために、中央および地方政
府でのIT利活用やIT戦略の国際的連携といった政策を含む重点計画 2004を実施するにあた
り、新しく制定される法、政省令、ガイドラインが過度に特定技術を推進、又は、強制しないこと
(技術的中立性)を確保する。

I-C. 重点計画 2004に盛り込まれた電子商取引に関する施策を実施するにあたり新たに制定
される法、政省令、ガイドラインの内容が国際的慣行に整合し、民間自主規制の原則に則るこ
とを確保する。

I-D. e-文書法案およびその実施規則を成立させ、医療サービスを含む多分野における文書
の電子保存やデータの電子的交換に関する柔軟な法的枠組みを構築する。米国は、日本政
府が継続して下記の措置を講ずることを提言する。

I-D-1. e-文書法に関連して関係省庁が規制やガイドラインを作成するにあたり、それらが統
一性のある形で作成され実施される。

I-D-2. 最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見を真摯に検討し、それら
を最終的に実施される措置に適切に反映させることで、透明性を確保し民間のインプットを活
用する。

I-E. 民間部門の要請に対応した有効かつ協調的IT政策を策定するというIT戦略本部の機能
の強化に向けて下記の措置を講ずる。

I-E-1. 重点計画2004に盛り込まれた改革を推進するにあたり、IT戦略本部は、規制改革・民
間開放推進本部および規制改革・民間開放推進会議と緊密に連携を図ることを確保する。

I-E-2. IT戦略本部および評価専門調査会への民間の参加を促す。これには、新たに確立さ
れたe-Japan施策や計画の評価制度(PDCAサイクル)において、日本の団体以外の団体か
らの専門家を含む民間部門の専門家からのインプットを積極的かつ透明性の高い形で募るこ
とを含む。

I-E-3. 各府省庁がIT政策を体系的、協調的、包括的に実施することを促すため(関係府省庁
の)IT連絡会議が十分な資源を有することを確保する。

II. 知的財産権保護の強化

 日本は日本経済を活性化するため、IT並びに知的財産の経済的重要性を認識しており、知
的財産推進計画を通じて知的財産の創造、活用、保護において指導的立場に立とうと努力し
ている。これらの目標および知的財産推進計画に沿って、米国は日本が以下の措置を取るこ
とを提言する。

II-A. 著作権保護期間の延長 一般的な著作物については著作者の死後70年、また生存期
間に関係のない保護期間に関しては著作物発表後95年という、現在の世界的傾向と整合性を
保つよう、音声録音および著作権法で保護されるその他の著作物の保護期間を延長する。

II-B. 法定損害賠償 侵害行為に対する抑止力となり、侵害により被った損失に対し権利者が
公平に補償されることを確保し、また、実際の損害・利益を算出・立証するという困難かつ費用
のかかる負担を解消することで司法の効率を向上させる法定損害賠償制度を採用し、知的財
産の侵害に対する執行制度を強化する。

II-C. デジタル・コンテンツの保護 以下の措置によって、デジタル・コンテンツの保護を強化
し、オンライン上の著作権侵害を防ぐため日本政府が達成してきたことをさらに積み重ねてい
く。

II-C-1. 政府の効果的監視 すべての政府機関および公的機関が、不正複写、海賊版を入
手可能な状態および送信、あるいは、政府支援のIT資源上におけるその他の侵害行為を効
果的に防止し罰することを確保する措置を取る。

II-C-2. ISP責任 インターネット・サービス・プロバイダー責任制限法等のデジタル・コンテン
ツの著作権侵害を防止するための現行の措置を包括的かつ積極的にモニターし強化する。

II-C-3. オンライン上の海賊行為 オンライン環境上での著作権の一層の効果的行使を図
る。

II-C-4. 私的利用に関する例外 私的利用の例外範囲を明確にし、ピア・ツー・ピアのファイル
共有といった家庭内利用の範囲を超える行為を示唆する行為が、権利者の許諾なしには認め
られないことを明らかにする。

II-C-5. 一時的複製 確実性と明確な指針を与えるため、「一時的蓄積」は複製権を含意する
との日本政府の重要な認識の適用状況について利害関係者に引き続き助言を与える。

II-C-6. 技術的保護措置(TPM) デジタル上の著作権侵害の急増を阻止するため、TPMの
保護範囲を拡大する。

II-C-7. エンドユーザーの著作権侵害 エンドユーザーによるあらゆる形の著作権侵害を阻止
するため、侵害の定義範囲を拡大する。

II-D. 偽作版 特に大学構内において違法に書物が複製されることを防止するため、日本の
著作権法の効果的執行に向け措置を講ずる。

II-E. 著作権法における改正教育例外条項の適切な解釈 日本の著作権法第35条の教育例
外条項が、著作物の通常利用の解釈と矛盾せず、権利者の合法的利益を不当に侵さないこ
とを確保する。

II-F. 知的財産推進計画および知的財産政策 知的財産戦略本部は「知的財産推進計画
2004」を2004年5月27日に発表した。同推進計画およびその他の知的財産政策の実施にあた
り、知的財産戦略本部および日本政府が以下の措置を取ることを米国は提言する。

II-F-1. 知的財産推進計画、「知的財産政策大綱」の政策目標およびその他の知的財産関係
措置を実施するために準備されるいかなる政令、省令、通告、指針等も、パブリックコメントの
対象とする。最低30日間のパブリックコメント期間を設け、提出された意見が真摯に検討さ
れ、最終的に実施される措置や行動に適切に反映されることを確保する。

II-F-2. 措置および政策目標の実施において、国際的義務や標準、そして規範を順守する。

II-F-3. 政令第45号に基づき重要な知的財産政策案件を検討し議論するための「専門調査
会」に、日本の団体以外の団体からの専門家を含める。

II-F-4. 関係府省庁が措置を講ずるにあたり、それらの措置がうまく管理され調和の取れた形
で実施されるよう、知的財産戦略本部に必要な資源、サポート、調整メカニズムを提供する。

II-G. 知的財産権保護の強化に向けた日米の連携 世界、特に、アジアにおける知的財産権
の一層の保護を促すため、二国間、地域内、多国間協議の場において米国と連携する。

III. 官民による電子商取引の利用の促進

 e-Japan戦略IIおよびe-Japan重点計画2004はともに、個人に恩恵をもたらし、高付加価値を
生み出す事業活動の促進を目指し、日本経済全体にわたってのITの利活用や電子商取引を
促している。インターネットのスピード、利便性、低価格は、国境を超えて行われる電子商取引
という国際貿易に有利に働く反面、貿易国家間での一貫した政策や規制を必要とする。プライ
バシーを保護し、電子商取引のための裁判外の紛争解決手続(ADR)を推進し、ネットワー
ク・セキュリティーを向上させ、スパムを取り締まるといった公的私的部門における政策は、日
本におけるITの利活用の拡大に貢献し、国内外での電子商取引を促進する。これらの政策
は、民間部門のリーダーシップや自主規制メカニズムの原則に重点を置き、国際的慣行と整
合すべきである。

III-A. プライバシー 2003年5月23日、国会が個人情報保護法を成立させたことを受け、いく
つかの省庁は、同法の2005年4月の施行を前に公表すべき施行指針を策定した。米国は以
下の措置を日本が取ることを提言する。

III-A-1. 最低30日間のパブリックコメントに付すとともに、指針が最終決定される前に提出さ
れた意見を検討する適切な期間を設ける等、これから策定される個人情報保護法の施行指
針が、透明性が高く一貫性のある形で策定されることを確保する。

III-A-2. 全ての指針が、電子事業や「B to B」および「B to C」電子商取引を阻害せず、過度
の負担を課さず、既存の国際規制を補完する、一貫した指針となることを確保する。

III-A-3. 医療におけるプライバシー問題に関する対話を深めるため、2005年の冬にプライバ
シー問題の専門家を招集しテレビ会議を共催する。一貫性を高めるために、多省庁からプラ
イバシー問題の専門家を招聘する。

III-A-4. 個人情報保護法の施行指針を策定している省庁が、それら指針を一貫性があり公
正な形で施行するとともに、政府規制や指針あるいは周知目的で作成される事例集の公表な
ども含め、是正措置および違反行為に関する情報を公表する制度の構築を確保する。

III-B. 裁判外の紛争処理手続(ADR)の促進 e-Japan 重点計画 2004は、電子商取引に関
するADRの推進を掲げている。

III-B-1. 米国はIT戦略本部がオンライン紛争処理を推進する措置を採用し、それらの措置
を、電子商取引に関するADRが、ADR手続で用いられる規則、プロセス、基準を一般的に当
事者が決定できることを認める自主規制の原則に則ることを許すような形で講じることを確保
するよう要請する。

III-B-2. ADRの発展のために柔軟性が高く開かれた法的環境の整備を目指す法案の策定と
いう日本政府の取組みに関して、米国は、日本が、本要望書の商法に係る箇所において提言
していることを取り入れ、国境を超える性質を持つ電子商取引に対応するADR制度を採用す
ることを要請する。

III-C. ネットワーク・セキュリティー 2004年2月に発表されたe-Japan戦略II加速化パッケージ
およびe-Japan重点計画2004は、日本政府が多様な措置を講じて、政府内および民間部門に
おける情報セキュリティー政策を強化することを提言している。米国は、この分野における日
本の取組みを引き続き支持するとともに、日本政府が全ての利害関係者がこれらの取組みに
参加するよう奨励することを提言する。2003年9月9日のグローバル・サイバー・セキュリティー
の促進に関する日米共同声明(2003年共同声明)は、重要インフラの大半が民間部門によっ
て所有されていることに鑑み、官民の協力が特に重要であることを確認した。

III-C-1. 日本政府は、現在、中央政府システムに関するネットワーク・セキュリティー基準を策
定している。これらの基準を策定するにあたり、米国は日本に下記の事項を要望する。

III-C-1-a. 基準を民間部門と協力し策定することで、民間部門の自発的順守を促し、政府と
同様な基準と指針を採用する確率を高める。

III-C-1-b. 透明性が高い形で、基準を策定し実施する。(国内外の)すべての利害関係者が
意味あるパブリックコメント過程に参加できるよう基準草案を最低30日間のパブリックコメント
に付すことを確保する。日本政府は提出された全ての意見を考慮し、最終決定事項に反映さ
せる。

III-C-1-c. 全府省庁を通じて基準に一貫性があることを確保する。2003年共同声明の中で、
日本政府は、国家のサイバーセキュリティー政策や計画が中央集権化された機構によって策
定される重要性を確認した。府省庁間における一貫性を確保するために、日本政府は内閣官
房の情報セキュリティー対策推進室が政府内の連携を促すことを可能とするよう適切な資源を
もってサポートする。

III-C-2. 米国政府は日本政府が民間部門のネットワーク・セキュリティー基準の策定を考慮し
ていることを理解している。米国は日本に下記の事項を要望する。

III-C-2-a. ネットワーク・セキュリティー基準が民間企業にとり強制力を持つものでないことを
確認する。

III-C-2-b. 日米両国の共通認識である民間の自主規制の原則に則り、民間企業のニーズに
沿った最も適切な基準を民間企業自身が自発的に選択することを認める。

III-C-2-c. 民間部門と協力し、ネットワーク・セキュリティーに関するベストプラクティス(最優良
事例)集を作成し広く周知する。

III-C-2-d. 国際的な業界標準化任意団体によって策定された基準の使用を促進し推奨する。

III-D. スパム 迷惑メールいわゆるスパムは、多くの場合、オンライン詐欺行為に関連し、悪
質なコードを拡散し、企業や消費者に負担と経費を強いている。拡大するスパム問題に対処し
なければ、電子商取引の発展は脅かされる。米国はスパム問題に効果的に対処するには、消
費者や企業に対する啓蒙活動、効果的な法律の執行、技術的基準、ベストプラクティス等を組
み合わせた総合的な取組みが必要であると確信する。よって米国は、日本に下記の事項を要
請する。

III-D-1. スパム問題の解決に向け、技術革新を通じて民間が中心的役割を果たし、また民間
が独自に技術選択することを確認する。

III-D-2. 消費者意識を高め、効果的に法律を執行する手段を明らかにし、スパム対策の中に
自主規制の原則を取り入れる。

IV. 情報システムの調達改革の促進

 日本政府は、2001年より、電子政府の構築に向け、情報システム調達手続を改革するため
の具体的な措置を講じてきた。それは、反競争的行為を防止し、高品質な電子政府システム
を妥当な価格で調達し、業者間の技術革新や競争を促進し、中央政府の調達における透明
性を高め、技術的中立性を確保するといった目標の達成には、これらの措置が不可欠である
との認識の下に行われた。2003年に各府省情報化総括責任者(CIO)連絡会議が決定した電
子政府構築計画および重点計画 2004においても繰り返し強調されているこれらの目標を米国
は支持する。これらの改革が意図する成果を生むことを確実にするため、米国は日本政府に
下記の提言をする。

IV-A. 2004年3月30日に各省庁が採択した了解覚書に列挙されている措置の実行と効果をモ
ニターし評価する。特に、米国は以下のことを日本に提言する。

IV-A-1. 了解覚書に沿って実施されている情報システム調達手続の改善方法に関して、2004
年度内にパブリックコメントを通じて民間の意見を聴取する。知的財産権の所有権や損失に対
する責任の明確化といった検討中の事項もこのパブリックコメントの対象とする。

IV-A-2. 極端に低い価格の入札やその他の反競争的行為を防止するための措置の効果を
客観的に評価する方法を整備する。

IV-A-3. 2004年4月に構築された情報システムに係る政府調達事例データーベースの拡充に
向け、全省庁は情報システムの調達に係る落札の具体的事例情報を提供する。米国政府
は、日本政府がこれらの情報を分析し、情報システム調達の全体的傾向を示す統計を公表す
ることを推奨する。それには、以下の事項を含む。

IV-A-3-a. 一般入札と随意契約の比率。

IV-A-3-b. ライフサイクル・コストやOGVMといった新しい評価方法の採用。

IV-A-3-c. 複数年契約といった新しい契約方法の採用。

IV-B. 政府の情報システム調達に関するさらなる改革を断行するため、以下の措置を含め、
追加的措置を実行する。

IV-B-1. 調達にかかわる落札情報を、透明性が高く、また、誰でも入手できる形で時宜を得て
公開する。

IV-B-2. 外国企業や中小企業に対する障壁を除去するため、資格審査制度を改革する。

IV-B-3. 調達機関は、適切な場合、(例えば、ハードウエア、ソフトウエア、ソフトウエア開発と
いったそれぞれの調達に対し独立した入札採用し、)一括契約を減らすよう努力する。一括契
約が必要となる場合、元請負業者を決定するために行われる一括入札の反競争的影響を緩
和するための措置を講ずる。



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エネルギー

I. 独立した規制当局

 日本の電力・天然ガス分野において効果的で競争促進的な規制改革を行なうためには、強
力なな執行メカニズムが鍵となる。「日米間の『規制改革及び競争政策イニシアティブ』」に関
する日米両国首脳への第3回報告書」(以下、「両国首脳への第3回報告書」)の中で、日本政
府は、この目標を達成するための十分な人員、専門性および独立性を確保する重要性を認め
た。従って、米国政府は日本政府に下記の実行を求める。

I-A. 経済産業省の人員が「電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律」(以下、
「法律」)において規定している監視・施行責任の規模と一致するよう具体的な方策を取る。

I-B. 適切な実施と監視を可能にするよう、十分な独立した予算を配分する。

I-C. 経済産業省における関連する規制担当部署と政策策定部署との間の規制権限と責任
の範囲・分担を、「法律」の施行省令等の中で明確に定義する。

I-D. 経済産業省内のエネルギー分野の規制、監視を担当する部署が、エネルギー又はエネ
ルギーサービス提供者からの出向者受け入れを控えるよう約束する。そして、

I-E. 経済産業省内のエネルギー分野関連の規制、監視担当部署の職員の行動規範が、意
思決定の独立性を効果的に保証するよう確保する。

II. 規制改革の監視および査定

 需要家の選択肢を拡大し、供給者間の競争を促進し、市場参入の新しい機会を創造するた
めに行われている電力・天然ガス分野における規制改革には、これらの改革が市場にもたら
す競争促進的な大きな影響の実現を確保するため、慎重な監視および査定も必要である。不
備は時間と共に査定を通して指摘されていくが、改革プロセスは、新規参入に開放された完全
に競争的な市場の実現のために、新規の構造改革を含む追加的な規制改革のステップの議
論を開始することにつながるべきである。従って、米国政府は日本政府に、実際の市場競争
の発展を追跡するための監視・査定計画を策定し、その計画を実施するために必要な資源を
用意し、2005年夏までに電力、天然ガス分野の計画を準備するよう求める。その方策には、競
争状況を査定するため様々な分野に基準を設定し、実際の市場状況や動向について独立し
た分析を行なう市場モニターを任命し、そして、より活発な競争を実現するためのさらなる方策
の必要性を考えるために、関連する経済産業省の研究会などで市場情報の定期的な調査を
行なうことなどが含まれる。

III. パブリック・インプットと改革のプロセス

 電力と天然ガス分野の規制改革プロセスが前進する中で、米国政府は日本政府に対し、引
き続き(パブリックコメント手続きなどを通して)意見を述べる有意義な機会を設けるよう、ま
た、これらの意見が関連省令、規則およびガイドライン等の最終版に反映されるよう求める。

IV. 事業情報の機密性

 機密性と事業情報の交換に関わる厳格な行動規範は、送電事業者と/または導管のエネル
ギー関連事業者およびマーケッティング関連事業者が、関連の無いマーケッターやエネルギー
事業者よりも不公正な競争上の優位性を持つことを防ぐのに役立つ。そのような基準の欠如
は、送電事業者や導管が、関連性の無いマーケッターやエネルギー事業者に提供する通常の
託送業務を通じて入手した機密扱いの情報を、関連するマーケッターやエネルギー事業者に
流すことを可能とするため、公平な取り扱いに対する投資家の信頼を揺るがしかねず、結果
的に必要なエネルギー基盤への投資を思いとどまらせることになりかねない。従って、米国政
府は日本政府に対して、適切な行動規範を策定し、天然ガス導管と電力送電事業者に統一的
に適用するよう求める。また、次の原則も含めるよう求める。

IV-A. 送電事業者および導管が、エネルギーおよびマーケッティング関連事業より独自性をも
って機能する要件を拡大する。

IV-B. 共有が可能な情報の種類、また、共有できる社員、コンサルタントおよび契約者の種類
を規制する。

V. 電力分野

V-A. 「法律」の施行省令、規則等の透明性のある整備と効果的な実施は、健全で競争的で
安定的な電力市場にとって鍵である。競争的な市場は、適正な基盤、燃料供給と発電・送電設
備があってはじめて可能になる。さらに、発送電一貫の業界では、必要な資本投資を促すため
や、顧客が自由化の利益を完全に享受できるよう確保するために、競合会社、料率、送電運
営に対する電力会社の行動に関わる効果的で透明性のある規則が必要である。従って、米国
政府は日本に、追加的な方策を取ると共に、「法律」の目的を実現するための具体的で詳細な
施行省令および規則等を早急に発令するよう求める。

V-A-1. 電力卸売における競争を支援するための適正な市場構造 米国政府は、連系した送
電網を通して多数の電源への接続を可能にするために、経済産業省が下記の方策を取るよう
提言する。

V-A-1-a. 大小の発電事業者を含むすべての市場参加者に対して、透明性のある送電設備
への接続手順と料金体系を提供し、効率的な電力取引と送電網関連施設のタイミングの良い
建設を可能にするため、ロードバランスやロードフォロー等の送電補助ネットワークサービス
(アンシラリー・サービス)の価格設定と規定に関する規則を定める詳細な省令・規則等を発令
する。

V-A-1-b. 競争的な全国規模の電力市場を支えるために必要な連系容量に不備が無いかを
探る調査を行ない、経済的に可能な限りそのような不備を是正する具体的な措置を策定す
る。

V-A-1-c. 効率的な基本市場設計と公平で透明な参加規則を確保し、参加のための量と資格
の規制が最小限になるよう、提案されている電力取引所の構造を公正取引委員会と共同で監
視する。

V-A-1-d. 詳細な経済産業省の省令・規則等を発令するとともに、提案されている電力取引
所における取引に関して公正取引委員会と共同でガイドラインを作成する。

V-A-1-e. 執行管轄省庁が違反の察知を行なえるようにするため、電力取引所のメンバーに
対して取引量と条件に関わる報告を義務づけ、取引の事後監視を行なう詳細な省令・規則等
を発令する。

V-A-1-f. 提案されている電力取引所の会社に「市場監視員」という職分を新設することを義
務づける。市場監視員は、どの会社にも所属しない独立した専門家で、市場が競争的である
かを確認し、また取引所の規則や手続きが可能な限り最大限に市場メカニズムに基づくよう確
保するために定期的に市場を監査する。さらに、市場の競争状況について少なくとも年に一度
は経済産業省へ報告書を提出する。

V-A-2. 送配電設備への接続条件 電気事業分科会は、中立機関(NSO)の設立とそのサー
ビスの提供にあたり、「公平性と透明性」の確保の重要性を確認した。分科会ではさらに、この
目標を達成するために具体的な関連提言を行なった。米国政府は、経済産業省が次の分野
で具体的で詳細な省令・規則等を策定するよう求める。

V-A-2-a. 「両国首脳への第3回報告書」で合意されたとおり、経済産業省が中立機関を監督
し、是正の必要があれば中立機関に対し命令を発令するための手続きを整備する。

V-A-2-b. 「両国首脳への第3回報告書」で確認されたとおり、「設備形成、系統アクセス、系
統運用および情報開示」に対して中立機関ルールを実行する手続きを整備する。これには、
送電線の空き容量の開示の義務づけを含む。

V-A-2-c. 中立機関の既存会社が中立機関を支配できないようにするため、経済産業省が中
立機関の組織と意思決定について公平性と透明性を確保できるよう手続きを整備する。

V-A-2-d. 中立機関の効力を定期的に見直し、中立機関がタイミング良く明確な決定を下せ
ないと判明した時には、それを解散し、市場参加者を含まない真に独立した組織に代える手続
きを導入する。

V-A-3. 送配電線への第三者アクセス 「法律」のもと、第三者アクセスのための公平で透明
な会計および料金を効果的に実施するために、米国政府は経済産業省が次の目的を達成す
るために具体的で詳細な省令・規則等を採択するよう求める。

V-A-3-a. 内部相互補助を防止するための送配電機能と他の電力機能の分離、また、会計
規則や分離会計の詳細の公表。

V-A-3-b. 送電料金のパンケーキ方式(供給区域をまたいで送電するごとに課金する方式)の
廃止と、そのような料金をパブリックコメント手続きを経て採用された送電料金算出方法に代
える。

V-A-3-c. 市場参加者の受益と負担の関係を踏まえ、送電設備増強のための費用を配分。

V-A-4. 行為規制の実施 電力業界における差別禁止を実行するための行為規制は、経済
産業省と、独占禁止法の観点から公正取引委員会の継続的な監督を必要とする。施行のた
めの具体的な省令等や救済策は、市場への新規参入を考える者の信頼性を高める。米国政
府は、次の目的のために、経済産業省が具体的で詳細な省令・規則等を採択するよう求め
る。

V-A-4-a. 託送業務において知り得た情報の目的外利用を禁止する。

V-A-4-b. 一般電気事業者の送配電部門による、他の電気事業者に対する不当に差別的な
取扱いを禁止する。

V-A-4-c. 一般電気事業者所有のLNG施設への無理のないアクセスを拒否することによって
競合する電気事業者に対して不当に差別的な取り扱いをすることを禁止する。

V-A-4-d. 厳正な市場の事後監視を行い、規制に係る紛争を中立かつ公平な方法で解決す
る。